窮鼠はチーズの夢を見る
2回観ました。
まずなんで2回観たか
もともと2回観ようと思って行ったわけではなかったです。
まあふだん2回行くこともある(羊の木は3回行ったなあ)ので、よかったらまた日をあけて観るかも、とは思っていましたが。
15時に観て17時?ぐらいに観終わって、20時25分からまた観たんですよ。
それが、
わたし、このリリースが上がったときに、原作(修正前)を紙の本で買って読んだんです。
それで素敵だなと思っていて。
わたしが解釈したわたしの思う原作、が、完全に頭の中にある状態で1回目を観たんです。
観終わって、めっちゃ後悔して。
映画館出る前にもう20時25分の回予約してました
ぜったいもう1回観ないといけないと思った。
まず原作と映画は別物ですよ。当たり前なのに忘れてたんですよね。
それと原作の読み込み不足も感じました。とにかくわたしの頭にあったのは、わたしが解釈した、わたしがそのとき思っていた原作、でした。
ただ、原作の頭でなくても1回じゃ気づけないことがたくさんあったと思って、だからどちらにせよ2回観てほんとうに良かったと思ったし、
なんならまだ観たいぐらいなんですけど、
3回目はちょっと我慢してDVD買います。そのつもりです。
では、以下、感想
かなり存分に内容込みです。観てない方で観るつもりの方はお控えください。
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以下感想
ほんとうにわたしのくだらない失敗なんですけど、
さきほど「わたしが解釈したわたしの思う原作」が頭にあったと書いたんですが。
その、わりと話は原作の流れに沿って進んで
「流れに沿って」ですよ。「流れに」
沿って、進んでいくので、
原作が頭にあっても違和感がなかったんですよ。
ほんとうにラストシーンまで。
ラストシーンが来た瞬間
「あ、ミスった」
ってほんとうに思った
わたしなんも見てなかったんですよ。たぶん。2時間。映画。
びっくりした。
いや、当たり前なんですけど、こんな失敗してるのわたしだけかもしれないですけど、ほんとにびっくりした。
その1回目わたしがみたのは、「わたしが原作を読んで解釈したわたしの思う窮鼠」だったんですよ。
びっくりした。
でもそこで気づけてよかったです。すぐそのまま2回目行けたので。
なのでこれから書く映画の感想は2回目の感想です。
恭一ってラストの前まで、あんまなんも言わないじゃないですか。思ってること。
顔にもあまり出ない。
でも行動にぜんぶ出てる
その演出がほんとにすごくてもう何日経ってもずっと思い出しちゃって感動してます
(恭一だけじゃないか。周りもそうか。)
今ヶ瀬となつきがバトってるところに来てふつうに今ヶ瀬の隣に座る
2人が飲んでるもの一瞥して今ヶ瀬が飲んでるビール頼むし(ビールの件はあとでも書きますが)
たまきが自分のパーカー着てたら明らか見ないようにしてて(その前に今ヶ瀬がパーカー着てた)
今ヶ瀬がよく座ってた椅子に座ったらすぐ降ろして
最後もそうですよね。たまきがキッチンで料理してるの見たくないからずっと外見てるし、(しかももしかしたらあのへんに今ヶ瀬の車が停まってたのか)
たまきが洗い物してたら代わると言って代わらなかったら蛇口止めて。
その前に今ヶ瀬がキッチン立ってる時はお風呂入るって言いながら入らずにキッチンの中ウロウロウロウロまとわりついてたからね。
たぶんダイニングテーブル置いてたのも、ソファでたまきとごはん食べるの嫌だったんだろうな、みたいな。(今ヶ瀬のために部屋戻したとき綺麗になくなってたし)
今ヶ瀬の誕生日の北京ダックとワインも、いっちばん冒頭に会社の人に「嫁の誕生日に何するか」って訊かれて答えてるのが「少し前に食べたいものリサーチして、それとちょっとしたものを贈る」のまんまだし。
めっっっちゃくちゃ好きなんだろうな、好きって言わないけど。
でそれにちゃんと自分でも気づいてるから苦しいんですよね。
まあいつも自ら部屋の中に入れてるし
出て行ったら電話して呼び出して連れて帰ってるし
つけてきてるのを迎えに行ってるし
あと、鬼ほどやきもちやいてるな。妬いてるときだけ感情があらわだったな、そういえば。
「あなたじゃダメだ」が地雷で、
それはたぶん恭一が、今ヶ瀬には自分じゃダメだと思ってるからで、その苦しみは恭一の苦しみだなぁ
今ヶ瀬にも今ヶ瀬の苦しみがあって。
めちゃくちゃ好き同士やん。ああめちゃくちゃラブストーリーだなあと思うわけです。めっちゃ良い。
ふたりてわりと最初からたぶん波長が合ってるんじゃないか、
テレビ見ていておなじところで笑うし、ひとつのポテチをふたりで食べて、
たぶん今ヶ瀬の作るごはんをふたりでほんとうにおいしく食べていたんだろうし、
あとビールですね。
1回出て行った今ヶ瀬を呼び出したときに恭一が飲んでたビール、
さっき書いた、なつきとバトってるときに同じやつを今ヶ瀬が飲んでるんですよ。(恭一が座ってた席に今ヶ瀬が座って待ってる)
でそれをやってきて隣に座った恭一が注文して飲んで、
2人が立ち去ったあと残った恭一のビールを今ヶ瀬が飲む。
飲み物をたぶん、監督すごく大事に演出されてて、
恭一がたまきと最初にカフェに行ったとき、
恭一「コーヒー飲みたくない?」って言ってるんですけど、たまき一度も飲みたいとは言ってなくて、カフェでも紅茶飲んでるんですよね。
で、そのあと恭一に差し入れたやつもコーヒーじゃなくて紅茶(ハーブティー?よく寝れるやつ)
たぶん婚約の時にたまきの家で出されてたのも紅茶。
最後にたまきと別れたときに飲んでたのも、恭一はコーヒーでたまきは紅茶。
最初から好みが違うし、どちらもまったく歩み寄ろうとしてない。それくらいのもんなんですよね。
たぶんハンバーグも和風じゃないんじゃないかな。グラタン好きみたいだし。
カーテンの趣味も。
まあそういう好みのこと言うと最初の奥さんもそうですね。
あと今ヶ瀬にワインあげたの、あれもちゃんとその前になつきとワイン飲んでる時に今ヶ瀬もワイン飲んでるので、今ヶ瀬も恭一もワイン好きなんですよね。たぶん。
それから、これぜったい1回だと気づけなかった自信ありますが、北京ダック食べにいくときに2人が着てたダウン、釣り堀で2人が着てたダウンだけど、恭一が今ヶ瀬の着て今ヶ瀬が恭一の着てるんですよね。
これは趣味が合う演出なのかなかよくしてるという演出なのかどっちなんだろう
でも1回じゃ気づけないくらい似合ってるってことは前者なのかもしれません。
最初のほうから「信じる」だの「大切にしたい」だの言ってる恭一ですが、
「なんとなく」だったそれが最後ほんとうの意味での「信じる」と「大切にしたい」になったんですよね。
たまきと別れると言った恭一に「先輩らしくない」と言って、考え込んで出て行っちゃった今ヶ瀬は自分が例外になったって気づけてるんかな。気づいてるから出て行ったんでしょうね、きっと。
クズがただひとりに対してだけはクズになれなくてとんでもなく大切にしちゃうという
今ヶ瀬もけっきょく諦められなくて苦しくて帰ってきて外からカーテンが白に戻っているのを見るだろう たぶん
以上
とにかくめっちゃ良かった
最後ちょっと大倉のはなし
あとあと思うと、
まったく顔に出てない大倉のあの演技は正解なんだろうなと思います(人っぽい)
存分に書かせていただいた通り多分に演出があるから、感情表現と行動は少し距離があるほうがよりわかりやすいというか。効果的というか。
あでも上でまったく触れてませんがベッドシーンはお見事でした。わたしがなんか書くまでもなくあれはほんとに見たらわかる。おつかれさま。ちゃんとめっちゃ良いものできてるよ。
大倉の辛さよりこの映画の素晴らしさと評価と観衆の気持ちのほうが上回ることを祈っています。
決定から撮影、それから公開まで長い期間、ほんとうにお疲れさまでした。
わたしはほんとうにこの映画がちゃんと世に出て良かったと思っているしそういう人がきっと何万人もいる
ほんとうにおつかれさまでした。ありがとう
まだ月曜日なのに2時半までブログ書いてしまうほどには心動かされました。
余韻から明けたらまた改めて原作読みたいと思います。あたらしいものがみえるかも。